なぜ作ったか——毎回の手計算がつらかった
以前、ヴァイスシュヴァルツの大会を何度か主催したことがあります。当日の準備リストを作るたびに、毎回同じ計算をしていました。
「参加者が 20 人だとラウンド数はいくつだっけ……?」「TOP 8 に入れるのは何ラウンド目以降の全勝ラインから?」「1 ラウンド 50 分として、5 ラウンドやったら何時に終わる?」
計算自体は難しくないのですが、毎回やるのが地味に面倒くさい。
しかも人数が直前に増えたり減ったりするので「やっぱり 18 人で計算し直し……」となる。スプレッドシートで計算式を組んだこともありましたが、それを開いて入力するのすらだんだん億劫になってきました。
「これ、URL を開いて数字を入れるだけで全部出てきたら最高では?」と思ったのが、このツールを作ったきっかけです。
このツールでできること
Swiss Tournament Calculator では、参加人数をもとに次の 3 つを自動で計算します。
- 推奨ラウンド数:参加者数から統計的にフェアな対戦を組めるラウンド数を算出します。いわゆる「2^n を超える最小 n」の計算式をベースにしつつ、実際の大会運営で使いやすい数値を出すように調整しています。
- TOP カット入賞ライン:決勝トーナメント(TOP カット)に進める人数と、何勝何敗のラインが入賞圏内になるかを表示します。「TOP 8 に確実に入るには何勝必要?」がひと目でわかります。
- タイムスケジュール:1 ラウンドあたりの試合時間を入力すると、各ラウンドの終了予定時刻と大会全体の終了予定時刻が計算されます。会場の終了時間に間に合うかどうか、事前に確認できます。
作った本人が言うのもなんですが、これだけ揃っていれば大会の事前準備はほぼ完結します。本当に便利!
使い方ステップ
ステップ 1:参加人数を入力する
ページを開いたらまず参加人数の欄に数字を入れます。確定人数でなくてもOKです。「だいたい 16〜20 人くらい集まりそう」なら 16 と 20 を両方試して感触を掴んでおくのがおすすめです。
人数が変わったときも、数字を打ち直すだけで即座に再計算されます。直前の変更にも対応できる。
ステップ 2:1 ラウンドの試合時間を入力する
次に「1 ラウンドあたり何分か」を入力します。カードゲームなら 50 分前後が多いと思いますが、ゲームの種類や参加者層によって変わります。初心者が多い大会なら 60〜75 分、経験者揃いなら 45〜50 分で計算するのが実情に合っているかと思います。
この入力値が、あとで出てくるタイムスケジュールの精度を左右するので、少し余裕を持った数字を入れておくのがコツです。
ステップ 3:開始時刻を入力する
大会の開始時刻を入れます。「10:00 開始」なら 10:00 を入力するだけです。あとはラウンド数と試合時間をもとに、ラウンドごとの終了予定時刻と大会全体の終了時刻が自動で出てきます。
「あれ、このまま進めると会場の利用終了時間をオーバーする」と気づけるのが地味に助かります。そのまま当日を迎えてしまうと取り返しがつかないので、事前チェックに使ってください。
ステップ 4:計算結果を確認してそのまま使う
計算結果には、推奨ラウンド数・TOP カット人数・入賞ライン・ラウンドごとのタイムテーブルがまとめて表示されます。これを当日の進行表にそのまま転記したり、印刷して手元に置いたりできます。
URL は変わらないので、ブックマークして当日スマートフォンで開くのも便利です。
大会運営のコツ
スイスドローの基本:全員が近い実力の相手と当たるように組み合わせる
スイスドロー(Swiss Pairings)は、ラウンドが進むにつれて「同じ勝ち数・負け数の人どうし」がマッチアップされるトーナメント形式です。
最初から全員がシングルエリミネーション(一発勝負)で戦う形式と違い、スイスドローは負けても敗退しません。全員が決まったラウンド数を戦い、最終的な勝ち点で順位を決定します。
この形式の最大のメリットは「全員が何試合も遊べる」こと。負けてすぐ終わりにならないので、遠くから来た参加者も納得して帰れることが多いです。主催としても、一発勝負で盛り上がりが半減する……という事態を避けやすくなります。
ラウンド数と参加人数のバランスを意識する
参加人数が多いのにラウンド数が少なすぎると、スイスドローの公平性が崩れます。同じ勝ち数の人が多すぎて、順位決定がタイブレーカー(細かいポイント差)任せになってしまうからです。
目安は「2 のラウンド乗が参加人数を超える、最小のラウンド数」。たとえば参加者 16 人なら 2^4 = 16 なので 4 ラウンド、17〜32 人なら 5 ラウンドが推奨です。Swiss Tournament Calculator はこの計算を自動でやってくれるので、細かい数字を覚える必要はありません。
予備時間は必ず確保しておく
タイムスケジュールを計算するとき、「ジャスト時間」で組むのは危険です。対戦が延びることも、受付に手間取ることも、休憩が伸びることも、現実にはよく起こります。
1 ラウンドあたり 5〜10 分の予備時間を追加して計算するか、最後のラウンド終了から会場終了まで最低 30 分以上の余裕を持たせておくと、焦らず運営できます。大会進行中に「時間が足りない!」と気づいても、その場での解決はほぼ不可能です。事前の 5 分が当日の 30 分を救います。
よくある質問
参加人数が奇数の場合はどうなりますか?
スイスドローでは参加人数が奇数のとき、毎ラウンド 1 人が「不戦勝(Bye)」になります。不戦勝を受けた人はそのラウンドを 1 勝として扱います。どの参加者が Bye を受けるかは、最下位の勝ち点の人が対象になるのが一般的です。Swiss Tournament Calculator では奇数人数でも正しくラウンド数と入賞ラインを計算できるので、そのまま入力してください。
TOP カットの人数はどうやって決めればいいですか?
よく使われるのは TOP 8 か TOP 4 です。参加者が 8 人以下なら TOP カットなしで全員が決勝ラウンドに進むケースもあります。参加人数が 16 人以上なら TOP 8、8 人前後なら TOP 4 が目安です。ツールの計算結果に加えて「会場の残り時間でトーナメントを回せるか」も一緒に確認してください。
タイブレーカーはどう扱えばいいですか?
スイスドローで同じ勝ち点の参加者が並んだとき、順位の決め手がタイブレーカーです。一般的なのは「対戦相手の勝ち点合計(Opponent Match Win Percentage)」で、強い相手に勝った人が上位になる仕組みです。大会管理ソフトウェアを使っている場合は自動計算してくれますが、手動で運営する場合は事前にどのタイブレーカーを使うか参加者に明示しておくと、終了後のトラブルを防げます。
おわりに
大会主催って、当日の運営より事前準備のほうが実は大変だったりしますよね。参加者集め、会場の手配、ルール説明資料の作成……やることが多すぎます。
Swiss Tournament Calculator は、そのうちの「計算」の部分をまるごと引き受けることを目指して作りました。使ってみて「こういう機能があったら便利」「ここが使いにくい」といった感想があれば、X(@black777cat)で気軽に声をかけてください。フィードバックは全部読んでいます!
次の大会、ぜひ Swiss Tournament Calculator を使ってみてください。