簡単な動画こそ、AIに任せやすい

動画編集というと、専用ソフトを覚え、写真や映像を一つずつ並べ、切り替えのタイミングや音量を細かく調整する作業を思い浮かべます。凝った作品を作るなら、今でも人の感覚と技術が必要です。一方で、目的が思い出を家族で見返すことなら、必要なのは派手な演出ではありません。写真が見やすい順番で流れ、場面に合う音楽が入り、必要なところにタイトルや字幕が付けば十分です。

このように完成形が比較的はっきりしている作業は、AIと相性が良いと感じました。どのような動画にしたいか、長さはどれくらいか、写真をどう分類したいかを伝えると、編集ツールのセットアップから素材の整理、タイムラインへの配置、書き出しまで進めてもらえます。自分は希望を伝え、途中のプレビューを確認し、気になる箇所を直してもらう役割に集中できます。

大量の家族写真から、使いたい写真を絞り込む

特に助かるのは、写真の枚数が多いときです。スマートフォンやクラウドに何年分もの写真があると、動画編集そのものより、使う写真を探す方に時間がかかります。現在の画像認識は顔や構図の特徴を使って候補をまとめられるため、自分の子どもが写っている写真だけ、家族が一緒に写っている写真だけ、といった形で絞り込む作業を手伝わせることができます。

もちろん、顔認識の結果が常に正しいわけではありません。似た人物を取り違えたり、横顔や暗い写真を見落としたりすることはあります。そのため、AIには候補を減らしてもらい、最後は人が確認する使い方が現実的です。それでも、何千枚もの写真を最初から一枚ずつ見る場合と比べると、準備の負担は大きく変わります。

セットアップから編集まで、やることを伝える

今回のやり方は、特別な操作を覚えるというより、AIに完成イメージと条件を伝えることが中心でした。利用する編集ツールを選び、必要なソフトウェアを準備し、素材を読み込める状態にするところから相談できます。そのうえで、写真一枚あたりの表示時間、動画全体の長さ、写真の並び順、場面転換の方法などを指定していきます。

最初から完璧な指示を書く必要もありません。まず短い試作品を作り、「写真の切り替えを少しゆっくりする」「同じ場面の写真が続かないようにする」「最後は家族全員の写真で締める」といった修正を重ねる方が分かりやすいです。AIに任せるといっても、完成品を一度で受け取るのではなく、対話しながら編集する感覚に近いと思います。

BGMはSunoでオリジナルにできる

映像の印象を大きく変えるBGMも、AIで用意できます。Sunoを使えば、動画の雰囲気や長さを言葉で伝え、オリジナルの楽曲を作ることができます。明るい成長記録、落ち着いた家族の思い出、式の終盤に合う温かい曲など、動画の目的に合わせて方向性を調整できます。

既存曲を使う場合には、家庭内で見るだけなのか、式場やオンラインで上映・共有するのかによって、利用条件や権利の確認が必要になります。AI生成曲についても、利用するサービスの最新の規約と契約プランを確認してから使うことが大切です。オリジナル曲を作れることは便利ですが、どこでどのように使えるかまで自動的に決まるわけではありません。

タイトル映像や字幕はCodexで整える

タイトル動画や字幕などの付帯情報も、Codexに作成を頼めます。たとえば、冒頭に表示する日付とタイトル、写真ごとの短い説明、最後のメッセージなどです。表記の揺れをそろえたり、表示時間に収まる長さへ文章を整えたりする作業は、AIが得意とするところです。

文字を単に載せるだけではなく、背景とのコントラスト、スマートフォンと大きな画面の両方で読めるサイズ、字幕が写真の顔に重ならない位置まで条件として伝えられます。生成した字幕データやタイトル素材を動画編集ツールに組み込み、プレビューを見ながら調整するところまで一連の作業として進められます。

家族の素材だからこそ、扱い方を決めておく

家族写真、とくに子どもの顔が写った素材を扱う場合は、便利さと同じくらいプライバシーも大切です。どのツールへ写真を送るのか、クラウド上に保存されるのか、学習や品質改善に利用される設定があるのかを確認し、必要以上の素材を渡さないようにします。ローカルだけで処理できる工程はローカルで行い、共有先も家族など必要な範囲に限定するのが安心です。

また、AIが選んだ写真に公開したくない情報が写り込んでいないかも、書き出し前に確認します。名札、住所、園や学校が特定できる表示、ほかの家庭の子どもの顔などは、家族だけの上映でも共有方法によって扱いが変わります。最後の確認を人が行うことは、動画の品質だけでなく、素材を守るためにも欠かせません。

AIに全部任せる、のちょうどよい意味

実際に作ってみた動画は家族で見るためのものなので、ここには掲載できません。それでも、仕上がりには十分満足しています。素材の整理、構成案、BGM、タイトル、字幕、編集、書き出しまでをAIに手伝わせることで、以前なら始める前に諦めていた量の写真も、一つの動画にまとめられました。

「AIに全部任せる」とは、内容を確認せずに完成品を受け入れることではありません。面倒な準備と反復作業を任せ、自分は残したい思い出を選び、仕上がりを判断することに時間を使う、という意味です。その分担であれば、簡単な動画編集はすでにAIへ任せてよい段階に来ているのだと思います。